「V字坂の聖地」馬込を歩く①
2010年 11月 04日
ここは、私が密かに「V字坂の聖地」と呼んでいる所です。
地形的にすごいんです、ここ。
V字坂の宝庫。
大地の営みをこれほどダイナミックに見せてくれる場所がほかにあるでしょうか。
とにかくすごい。
馬込。
なんだかのっけから興奮気味に紹介していますが、何のことを言っているかさっぱり分からない方もいるでしょうから、まずは「V字坂」がどんなものかのご説明から始めたいと思います。
ちなみに、私は「V字坂」ファンです。
「V字坂マニア」、「V字坂おたく」、「偏執的V字坂愛好者」と呼んでいただいても構いません。
とにかくこの地形が気になるんです。
まずは「V字坂」がどんなものか見ていただきましょう。
こんな感じの光景です。
(世田谷区羽根木1-31)
どうですか。
道が真っ直ぐに下っていった後、まっすぐに上っていくこの光景。
地形のダイナミックさを感じませんか。
(北区赤羽西4-40)
この道が作る形が「V字」になっているので、「V字坂」と呼んでいます。
この「V字」の角度が急なほど、そして高低差が大きいほど、迫力があってポイントが高いですね。
(大田区上池台4-39)
これなんかどうですか?
どこまでもまっすぐに進むV字坂。
向こうの坂の上が遠くにかすんで見えません。
しかも、谷が深くて谷底も見えない。
大変にスケールの大きい名V字坂です。
(目黒区柿の木坂2-4)
このV字型の谷は、ほとんどの場合、川に削られてできたものです。
したがって、谷底に降りると、かなり高い確率で暗渠に出会うことができます。
祐天寺駅近くのこのV字坂を降りてみると・・・
(目黒区区五本木1-12)
ほらっ、暗渠です。
これは蛇崩川(じゃくずれがわ)の支流。
全体が逆S字型のこのV字坂。
すごく良い感じ。
このV字坂も降りてみると・・・
(練馬区旭町3-3)
うわー、暗渠以外の何者でもないという紛れもない暗渠。
かっこいい。
ここは白子川の支流。
こんな風に若干曲がりくねって多少見通しが悪くても、それも味というものです。
(港区元麻布3-7)
ここは名前のついたV字坂。
「薬研坂(やげんざか)」と言います。
薬研(やげん)とは、薬を砕く道具のことで、真ん中が凹んでいる形をしているらしいです。
ああ、見事なV字ですねぇ。
この坂に名前が付けられているのもうなずけます。
(港区赤坂4-17)
向こう坂の上が見えなくてもいいんです。
逆にどこまで上り坂が続いているか期待がふくらみます。
「チラリズム」的な感覚ですかね。
(渋谷区桜丘町3-22)
V字の角度がゆるく、うっすらへこんでいるだけの場所もあります。
でも油断しないで下さい。
そこが谷の始まりかも知れないからです。
この写真の先に見えるかすかにへこんだ所まで行ってみると・・・
(板橋区赤塚3-1)
左側がこんな風にガクンと落ち込んでいます。
先ほどのうっすらした凹みは、こんな深い谷の始まりだったんですね。
上の写真の突き当たりまで行って左の坂を上がってみると、こんな景色。
V字谷がここまで進化しています。
すごいですね。
この暗渠については、lotus62さんが詳しくレポートされています。
どうですか。
楽しいですか?
ちゃんとついてきてますか??
それでは、ここからさらに連発でV字坂をご覧いただきましょう。
きっとV字坂を好きになるかも知れません。
高低差がハンパない。
(大田区田園調布5-14)
一直線のアップダウンがV字坂心をくすぐる。
(世田谷区玉川田園調布2-15)
身をよじるように曲がったV字坂。
(文京区白山5-29)
右は西日暮里駅。
(
右は原宿駅。
(渋谷区神宮前1-18)
奥の小学校の位置が高い!
(
奥の上り坂が急。
左は都電。
(豊島区雑司が谷2-28)
さて、V字坂に慣れていただいたでしょうか。
気持ちが悪くなってきましたか?
困ったな。
とりあえず解説に戻りましょう。
坂が急すぎる場合は、階段になっていることもあります。
この写真は、ちょっと暗いですが手前の坂が階段。
(世田谷区等々力1-26)
両側の坂が階段になっている場合は、業界用語(?)で「V字階段」と言います。
もっとも、このV字階段は、真ん中だけ階段で、車も通れそうです。
(世田谷区北沢1-3)
人しか通れない「純粋V字階段」ならこれ。
この「純粋V字階段」はめったに見られないレアものです。
(板橋区赤塚5-11)
このV字階段は、高低差もあまりなく、特徴がないように見えるかも知れませんが・・・
(
下まで降りると、左側にもう一つ階段が!
三方階段です。
実は、ここは階段業界(??)では有名な場所で、なおかつ出口のない谷、すなわち第一級スリバチでもあります。
右側も階段だったらパーフェクト達成ですが、残念ながら緩やかな上り坂となっています。
さて、たくさんV字坂を見てきましたが、実は東京にはV字坂が無数にあります。
東京の複雑な地形と、網の目のように張り巡らされた道路が、V字坂を多く生み出したのですね。
しかし、V字坂が「まとまって見られる場所」と言えば、馬込をおいてほかには思い当たりません。
馬込は特別な場所なのです。
さて、どうでしょうか、皆さん。
ここまでついて来れましたか?
後続ゼロ、一人旅ってことはないですよね?
大いなる不安を抱えつつ、次回はいよいよ聖地馬込に乗り込みます。
by ankyo-nekomatagi | 2010-11-04 19:16 | その他もろもろ