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東上線の車窓から見た奇妙な川風景をたどる①

訪問日:2011/7/16、2011/7/21

今回は、初めての埼玉ネタです。

私事ですが、私、昨年の8月に埼玉県に引っ越しました。
それまで都内の住民であったのが、東武東上線に乗って、東京~坂戸間を、片道1時間45分をかけてえっちらおっちらと通勤する身分になったのでした。
で、通勤電車の車窓から見る景色を毎日楽しんでいたのです。
もちろん、川や川跡にばかり目が行っていましたが。

・・・で、その毎日目にする景色の中に、不可解な光景があったのです。
速い電車の車窓からですから、一瞬で通り過ぎてしまいますが、今自分が見た光景が現実のものなのかどうか、自信が持てませんでした。
しかし、毎日車窓からの風景を眺めているうち、何度も目にし、現実のものであることが確認できたのでした。

当然ながらこの光景をカメラに納めたいと思ったのですが、最初に目撃したのは昨年の猛暑のまっただ中です。
しかもその川は、駅と駅の真ん中ほどにあります。
気温38度の炎天下の中でその川をたどったりしたら、生きて帰れない気がしました。
ということで、しばらく機会をうかがっていたのですが、ある時期からその光景が全く見られなくなってしまったのです。
あの猛暑の時期特有の現象だったのかと思い、非常に残念な思いでいました。

しかし、今年の夏、あの光景がまた甦ったのです!
今年は絶対に逃すまいと心に誓い、かなりの暑さの続くある日、撮影してきました。



・・・その川の名前は「不老川」。
この写真の場所は、東上線からも見える場所で、川越街道が不老川の上を橋で横切る地点です。
この橋の下を、左から右へ不老川は流れています。
住所が「砂」っていうのもちょっと面白い。
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この橋から見た7月21日の上流方向の様子。
なかなか川幅の広い川で、「一級河川」に指定されています。

まだ変わったことは起きていません。
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これが上の写真の5日前、7月16日の同じ場所の様子。
私が車窓から見て目を丸くした光景がこれです。
カラッカラに干上がっています。
これだけの川幅の川に、一滴の水もないというのが不思議でなりません。
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川底をのぞき込んだところ。
7月21日。
水深はあまりありませんが、川幅いっぱいに水が流れています。
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その5日前。
河床の砂利が露わになっています。
明らかに元は自然河川に見えるのに、水がないことが信じられません。
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この川、この夏に入ってから、ずっとこんな感じで干上がっていましたが、7月24日の台風の到来でまとまった雨が降り、水が復活していたのですね。
7月25日以降は天候不順の日が多く、ここまで干上がっている状況はもう見られなくなりました。
逆に、昨年の夏は、ここに水が流れている光景を一度も見ませんでした。


橋の反対側、下流方向を見るとこう。
7月21日。
奥に見える橋は、東武東上線の線路です。
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その5日前。
日差しが河床に照り返ってまぶしい。
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昨年は、あの猛暑の中を撮影には行けないと思い、涼しくなるのを待っていたのですが、涼しくなってきたなと思うが早いか雨の時期に入ってしまい、もう干上がっている光景には全くお目にかかれなくなってしまったのでした。


この撮影位置の橋は「不老橋」。
「としとらずはし」と読むようです。
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ちなみに、「不老川」の方は、現在は「ふろうがわ」と読むのが普通のようですが、昔は「としとらずがわ」と読んだようです。

Wikipediaによれば、この川はもともと水量が少なく、旧暦の正月頃には毎年干上がってしまうので、数え年で人が一斉に年を取る正月に姿を見せないことから、年を取らない川ということで、「としとらずがわ」と呼ばれた、という説があるそうです。

その後、生活排水が流れ込むようになって干上がらなくなった時期もあったそうですが、水質が悪化して環境が悪くなったため、生活排水が流れ込まないように下水工事が進められ、近年はまた干上がるようになったそうです。
ただ、私の観察した限りでは、干上がる時期は真冬から真夏にシフトしたのではないかと思います。
水質が悪化していた時期(1983年から3年間)は、「日本一汚い川」にランキングされていたらしいです。


不老橋のたもとでは、何かの排水がわずかに流れ込んでいましたが、流れ込むそばから干上がっていました。
文字通り「焼け石に水」です。
この日も気が遠くなるような猛烈な暑さでした。
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ここから先は、7月16日の、水のない状況の方だけを追いかけていくことにしましょう。
先ほどの位置から下流へ向かいます。
新河岸川(しんがしがわ)との合流地点まで数百メートルしかありません。
どんな感じで合流しているのでしょうか!
ワクワクします。



これは、東上線の反対側から上流方向を見たところ。
むなしく蛇行する不老川。
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さらに下流方向を見たところ。
まったくもってカラッカラです。
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私の横を通っていった自転車の母子連れの会話。
母親が「ねえ、○○ちゃん、見てよ、ほら。川に水がない! 衝撃的ー!」と子供に話しかけていました。
やっぱり一般人にとってもこの光景は衝撃的ですよねえ。

そして、改めて言いますが、この川、「一級河川」なんです。
カラッカラに干上がった「一級河川」というのもどうかと思います。


ここの所ではなぜか階段状の構造物がありましたので、川底へ降りてみました。
そして、なぜか先の方に少し水がたまっています。
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川底へ降りて上流方向を見たところ。
現役の川の川底に降りたことなどありませんので、強烈に不思議な違和感を感じます。
もし、今、上流の方で大雨が降っていたら、ここにいるのは非常に危険なんだろうなあ・・・などと変なことを考えていました。
突然襲ってくる猛烈な水流にさらわれる自分の姿が浮かびました。
この日まで日照り続きで、そのようなことがあるはずもないのですが。
暑さゆえの妄想でしょうか。

そして、川底にポツポツと落ちているボロ切れのようなこの物体・・・。
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カラカラにひからびて、たたみいわしのようになっています。
こいつの正体はたぶん・・・
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こいつでしょう。
この写真のコケは、水たまりの脇なのでまだ元気。
干上がったコケなんて初めて見ました。
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さて、水たまりは先の方まで広がっています。
この右岸のコンクリートの穴の空いたところからしみ出ているのだと思います。
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そして、左岸からも水がしみ出ていました。
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あちらこちらからしみ出ているようで、だんだんと水量が増えていきます。
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やがて立派な小川にまで成長していました。
この右に見える水たまりは、先ほどの右岸の水たまりの続きです。
左岸の流れと握手する寸前で力尽きています。
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そして、土手に上がって少し行くともう新河岸川との合流地点です。
川幅がこんなに広くなっています。
右奥に橋が見えますので、そこまで行ってみると、
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分かりやすい合流の様子を見ることができました。
右が新河岸川で、左が不老川。
この不老川が水をたたえ始めたのはほんの100メートルほど先からなのですが、とてもそのようには見えませんね。
合流地点までカラッカラに干上がっていたらどんなに不自然な光景だろうと楽しみにしてたどっていたのですが。
何だかちょっと欺されたような気分です。
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ちなみに、新河岸川の下流方向を撮ってみました。
何だか水門がやたらたくさん見えます。
この写真の中だけで4つ見えます。

それぞれが支流なのだろうかと思い、一つ一つたどってみたいという気持ちに一瞬かられましたが、この日はもう強烈な日差しで体力が限界。
おとなしく引き上げることにしました。
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帰りがけに気がついた看板。
「不老川をきれいにしましょう」。
きれいにすべき川がそこにはありません。
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遮るものが何もない直射日光の中を2時間ほども歩いていたので、その後完全に体調を崩してしまい、その日から2日間も寝込んでしまいました。
しかし、ようやく体力が回復した2日後、まだ連休中でしたので、さらに上流をどうしても確認したくなりました。

幸い、台風が近づいていて天候は曇り。
まだ雨は降っていませんので、川の干魃状態は続いているはずです。
自宅からはちょっと遠いのですが、頑張って自転車でたどってみることにしました。
この不老川、まだまだ上流方向へ10キロ以上も続いているんです。
上流端は、何と東京都瑞穂町!
東京から発して北へ向かい、埼玉の真ん中あたりまで流れているんですね。

しかも、「今福川」とか「久保川」などの支流が流れ込んでおり、地図では川を示す青い線がしっかり引かれています。
不老川全部をたどるのは無理としても、この2支流の合流の様子だけは何としても見届けておきたくなりました。
時機を逸した昨年の失敗を繰り返したくはありません。
カラッカラの本流に流れ込むカラッカラの支流、ってどんな光景なのでしょうか。

次回は、この日から2日後の上流の様子をご覧いただきます。

by ankyo-nekomatagi | 2011-08-12 17:31 | その他地区の暗渠  

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