高砂周辺の暗渠をたどる②
2011年 03月 25日
発生直後はさすがに気分的にも更新する気にはなれませんでしたし、自粛する意味でも更新を控えていましたが、やがて仕事の方が猛烈に忙しくなり、更新のための時間が取れなくなってしまいました。
震災後の初めての月曜日には、電車が動かないので出社を諦めていたところ、夕方頃「どうしても出てこい」ということになり、出社を諦めることを諦めざるを得なくなってしまいました。
ということで、自転車で3時間かけて電車の動いている「最寄り駅」まで向かったのでした。
結局、夕方4時半に出発して、夜10時に出社。そのまま泊まり込むことになりました。
まあ、この程度の苦労は被災者の方々に比べれば苦労のうちには入りませんね。
被災者の方々には心からお見舞い申し上げます。
今回は、高砂周辺の暗渠の2回目です。
訪問日:2011/1/30
さて、途中をかなり飛ばして、貨物線を横切るところ。
新宿(にいじゅく)4-16あたり。
線路の下をくぐる暗渠。
ここは通れないので、反対側にぐるっと回ってみると、

同じような景色です。
この周辺はもう暗渠らしさがあまりないのですが、この線路の下だけが川跡らしさを強くとどめています。

次は、少しだけルートを戻って、右にそれて進んだところ。
広い道が急に川跡になっていくという印象的なポイント。

ここから未舗装かつ未利用のスペースとなっていきます。

だんだん太いスペースに。

ここではかなり広くなりました。

この道は川跡を横切っていますが、橋な感じはしません。

ちなみに、暗渠の右側はなぜかこんなに道路より高くなっていました。
理由は不明です。

さて、その先は貨物線の線路を越えていきます。
「三重田(みえだ)街道踏切」。

少し先で、この未利用地暗渠は終わっています。
これは振り返って撮ったところ。

その先はだだっ広い道路が再開していました。

少し先へ進むと、右側に団地の案内図がありました。
「現在位置」とある場所の後ろはもろ水路として書いてあります。
今歩いてきた道ですよ。
いつ作った案内図なのでしょうか。

そして、そのすぐ先がこの交差点。
「大堰枠(おおせきわく)交差点」。
今回のクライマックスです。
・・・と言っても、何がすごいのか分かりませんね。
ここは現在は六差路の交差点になっており、ちょっといびつな感じはしますが、何ということはない交差点です。

これはgooの現在の地図です。
真東に出ている細い道を含めて六差路となっていますが・・・
勘の鋭い方はもうお気づきでしょうか。

これは同じ場所の昭和22年の航空写真。
現在の六差路を構成する道路のすべてが水路でした。
つまり、「川の六差路」!
上3本が上流方向、下3本が下流方向なのでしょう。
いやいや、すごいスポットがあったものです。
・・・しかし、話はこれで終わりません。
次の写真でもう一回驚いていただきます。

これは、知人のK君が葛飾区中央図書館で借りてきてくれた、明治時代の葛飾区の地図。
パウチしてあったので、写真が少し光っちゃってますが。
あと、明治何年の地図だったか、控えておくのを忘れました。
さて、大堰枠の周辺。
点線は町の境界線なので関係ありませんが、右上から左下へと続いているように見えるラインも水路だと思われます。
つまり、上の航空写真よりも、右上の一本分多い「川の七差路」となっています!
ちょっとすごくないですか?これ。
もっとも、一部は立体交差していて交わってはいなかった、という可能性もあるとは思いますが。

さて、現場の様子を見ていきましょう。
これは、地図の左上から来る水路跡。
歩道のところが暗渠っぽい。

これは地図の右から来る水路跡。
車止めもあって、明らかな暗渠。

これは、地図の右下へ抜けていく水路跡。
写真右へ続く道路は、今回たどってきたルートです。

これは左横へ進む水路跡。
左のガードレールが暗渠のようで、少し先で道から離れていきます。
なお、地図の右上から来る水路は、痕跡を見つけることはできませんでした。
今は完全に住宅地の中に埋没してしまっているようです。

これら7本の水路跡のうち、名前が確認できるのはこのルート。
右上から左下へと続く「上下之割用水(かみしものわりようすい)」。
そして、おそらく交差点の下流側に堰が設けられて、右下の「小岩用水(こいわようすい)」に分水されていたのでしょう。

いやー、面白かったですね。大堰枠。
あとはおまけみたいな感じになってしまいますが、小岩用水を下っていくと、ちょっと珍しいコンクリ蓋が見られましたので紹介します。
ここは、小岩用水が京成金町線を越えるところ。
越えた先からコンクリート蓋となっています。

反対側に回ってみました。
線路を越えるといきなりコンクリ蓋が始まっています。

しかも幅がめちゃめちゃ広い。
この広さのコンクリ蓋は少ないでしょう。

サイド面を見ると、コンクリ蓋によくある穴が開いていますが、穴の数が多いのが特徴的。
コンクリ蓋にも地域の特徴が出ますね。

これは、2つのコンクリ蓋をまたぐマンホール。
真ん中にある「カ」のマークは、葛飾区のロゴ。
「カ」が「四角」なので「カシカク」。
「ツ」が抜けてるけど、気にしないのでしょう。

先へ進むと、また変な感じのルート。
両側に車道を従えて、暗渠そのものも広いので、ものすごく広い道となっています。
やっぱり空が広い。

先へ進むと、左の車道がもっと広くなりました。

ここは橋の欄干の跡。

横から見ると、ちょっと外側へ傾いて造られています。
「桜二橋(さくらにはし)」。

もう少し先へ行ったここで、この印象的なコンクリ蓋暗渠は終わりとなります。

さらにずーっと先へ行って、京成本線を越えたところにある案内板。
「小岩用水の沿革」。

ちょっと引いてみると、こんなオブジェもありました。

今回は、いつもと違って面白そうな所だけをピックアップしてご紹介しました。
下町にもまだまだ面白い所がありそうです。
▲ by ankyo-nekomatagi | 2011-03-25 19:23 | 江戸川区・葛飾区の暗渠